マインドフルネス瞑想の呼吸について
姿勢を正し、身体を整えましたか?
これから2セクションにわたって、マインドフルネス瞑想でもっとも大切な「呼吸」について学びます。

人は生まれてから死ぬまで、基本的には呼吸が止まることはありません。
そのため、日常では、呼吸に意識を向けることはほとんどないでしょう。
体操で深呼吸をするときですら、呼吸に意識を向けないほどです。
しかし、「呼吸」は人の心身と深いつながりがあります。
思い出してみてください。
緊張したり、興奮したりすると呼吸が浅くなり、怒っているときは呼吸が荒くなります。
反対に、心が穏やかなときは呼吸もゆったりしたものになります。
このように呼吸は、私たちにとってもっとも身近な存在なのです。
つまり、呼吸に集中することで、自分の感情にも気がつきやすくなります。
マインドフルネス瞑想では、ひたすらに自分の呼吸に集中するトレーニングを続けます。
瞑想中の呼吸について
一般的に、「呼吸法」というと、長くしたり、短く切ったりというように呼吸の長さや質を変えることがありますが、
マインドフルネス瞑想ではそのようなことはしません。
「長ければ良い」「ゆっくりしたものが良い」というものではなく、
特に初めて瞑想を始めるときは、自分が心地よい呼吸を心がけましょう。
これから呼吸法についても触れますが、初心者はあまりこだわらないようにしてください。
特に現代人は呼吸が浅くなっていると言われており、
「ゆったりした呼吸を心がけよう」などと考えてしまうと、
瞑想中に注意力が削がれて逆効果になってしまいます。
まずは自分が心地良いと思える呼吸をしながら瞑想を始め、瞑想を深めていきましょう。
呼吸は鼻呼吸で
瞑想の呼吸は、鼻呼吸でおこないます。
口呼吸は喉が乾燥してしまうので注意してください。
鼻から息を吸って鼻から息を出す呼吸をしましょう。
リラックスしたいときや心を落ち着けたいときは、鼻から息を吸って、口からゆっくり息を吐く呼吸も効果的です。
呼吸を観察する
正しい姿勢で身体を整えたら、呼吸に意識を向けます。
鼻から体の中に息が入って、また鼻から息が出ていくという一連の流れを観察します。
呼吸を観察することによって、息が入って、そして出ていくという一つ一つの瞬間瞬間に集中できるのです。
呼吸をするという、ありのままの行動を観察し、その息の量や湿度、温かさを感じ、受け入れます。
また、呼吸によって起こる体の変化にも集中してみましょう。
鼻から息を吸うと、お腹と胸が大きく膨らみます。
そして息を吐くと、膨らんでいたお腹と胸が元に戻っていきます。
鼻から息を吸い、肺を通ってお腹にたまり、そしてそれがまた肺を通り、鼻腔を通って外に出ていく様子を、ただただ観察してください。

雑念が入ってきたら
瞑想を始めるとわかりますが、呼吸に集中するということは、とても単純なことのように思えて、実は難しいことに気がつきます。
私たちにとって、呼吸をすることは、このように観察したり考えたりしなくてもできる、当たり前の行動です。
わざわざ意志を持ってやらなくても、自動的に呼吸はできるからです。
最初は呼吸に集中をしていても、次第に呼吸の観察を忘れ、
心はどこか別のところをさまよい始め、さまざまな思いや雑念が身体の中に勝手に入り込んでくるでしょう。
再び呼吸に注意を向けようと思っても、数分もすれば注意力が途切れ、別のことに心がとらわれてしまいます。
挙げ句の果てには
「どうして瞑想に集中したいのに、次から次へといろんなことを考えてしまうのか」と考え出してしまいます。
そのときに、それを評価したりする必要はありません。
そもそも、「心」とはそういうものだからです。
感情や思考がわき出してきたら、「雑念がわきおこっているんだな」と、ありのままの自分を受け入れましょう。
そして、何度でもまた呼吸に注意を戻せばいいのです。
①姿勢を正す
②呼吸に集中して観察する
③注意力が途切れたら、また呼吸に集中する
基本的には、①〜③の作業を繰り返します。
雑念がわきおこっても、また呼吸に集中し直すというのが、瞑想実践者のトレーニングになります。