Lesson8-5 子どものためのマインドフルネス

子どももマインドフルネスに

前のセクションでは、親が取り組める手軽なマインドフルネスを紹介しました。親自身がマインドフルネスを実践してその効果を感じることができると、
子どもにも試してみたいと思うようになります。
この章では、小さな子どもから実践できる簡単なマインドフルネスを学びましょう。

ストレスやイライラは大人だけのものではなく、たとえ小さな子どもであっても子どもなりのストレスがあります。
子どもは日によって機嫌が悪いときもあれば、うまくできなくてイライラしたりするときもあります。

そのようなときはマインドフルネスに取り組むと、子どもも大人と同じように落ち着きを取り戻すことができます。
また、継続してマインドフルネスを実践することにより、集中力が高まったり、セルフコントロールできるようになることがわかっています。

さらに、マインドフルネスで気づく力をつけることで、
自分の気持ちや感情を客観的に把握する能力を、小さなときから養うことも可能になります。

子どものためのマインドフルネス

まずは自分の気持ちを確かめる

子どもに今の気持ちに気がつく力がつくと、メタ認知力(自分を客観的に見ることができる能力のこと)が高まります。

マインドフルネスを実践する前に、まずは「今、どんな気持ち(気分)か」を確かめます。
子どもが簡単に今の気持ちを表現できるように、「気持ちメーター」の表をあらかじめ用意しておくと良いでしょう。
気持ちメーターは手作りのものでもかまいません。
自分の気持ちが表現しやすいものをつくってみましょう。

気持ちメーターの例

どんな気持ちや気分でも、良い・悪いはありません。そのときどきの気持ちや気分に気がつき、受け入れてあげることが大切なのです。

呼吸(お腹)に集中する(未就学児)

椅子か床に、楽な姿勢で座ってもらいます。
動いてしまう子はしばらくそのままにして、落ち着いて静かになってから始めましょう。

お腹に手を当ててもらい、お腹が膨らんだりへこんだりするのを感じさせます。

慣れるまでは1分ぐらいから、慣れてきたら少し長く取り組んでください。

子どもがイライラしているときや、落ち着きがないときに効果的です。

呼吸に集中する(小学生以上)

基本は未就学児の呼吸法と同じですが、もう少し長く呼吸そのものに集中させてみましょう。

姿勢を正して、椅子か床に座ります。
今までおこなっていたことは一旦忘れ、自分自身(内面)に集中させます。

鼻から息が入ったり出たりするのを観察してもらいます。
ゆったりと呼吸をさせてください。
呼吸に注意を向けているときに、いろいろなことを考えてしまい、イライラしたりと感情が揺さぶられることがあります。
それでも大丈夫だと伝え、また呼吸に注意を戻してもらいます。
イライラしたりするのに気がつくことが大切だと、教えてあげてください。

最初は短い時間で、慣れてきたら徐々に時間を延ばしてください。

音を聴く

音を聴くことに注意を向ける練習をしてみましょう。

トライアングルや鐘など、一度鳴らすと長く響く楽器を用意してください。

目を閉じて、数回深呼吸してもらいましょう。そのあと、(親が)楽器を鳴らします。楽器が鳴っている間、じっとその音を聴いてもらいます。

1〜2分でできるので、小さな子どもでも取り組める簡単なマインドフルネスです。
終わった後は、とてもリラックスできます。

音を聴く(応用編)

「音を聴くよ」と声をかけてからマインドフルネスに取り組む上記の方法以外に、子どもが何か作業をしているときに予告なしに楽器を鳴らす方法もあります。

この方法では、楽器が鳴ったらそれまでの作業を全てストップし、呼吸に集中させます。
少し経ったら(1分ほど)もう一度楽器を鳴らし、またもとの作業に戻ります。

このマインドフルネスに取り組む日は、予告しないで楽器を鳴らすことをあらかじめ子どもに伝え、取り組み方も教えておきます。
短い時間に心の平静を取り戻すことができます。

星空を眺める

夜、外に出て、好きな姿勢(座っても、立っても、寝てもOK)でただ星空を見上げます。
時間は決めず、好きなだけ眺めてください。
おしゃべりはせず、リラックスして静かに取り組みましょう。

現代の子どもは遊ぶ時間が減り、その分、学習時間や、携帯、ゲームを見る時間が長くなり、視野が狭くなってしまいがちです。
星空を見上げて広大な宇宙を感じることで、
自分の悩みや苦しみは、思っているほど大きなものではないと思えるかもしれません。

子どもの気持ちがリフレッシュし、前向きな気持ちになれます。

子どもにマインドフルネスを取り組ませるときのポイント

子どもにマインドフルネスを実践させるのは、必ず親が実践しその体験を感じてからにしましょう。
また親自身がその姿を子どもに見せることで、子どもが興味を持つようになることが期待できます。

子どもにマインドフルネスを無理矢理させる必要はありません。
無理矢理させても、集中しておこなうことができないからです。
子どもには一人一人個性がありますので、それを認めてあげて、
子どもに合ったマインドフルネスをいろいろ試してみることをおすすめします。

子どものマインドフルネス実践ポイント

・親が実践する姿を見せる

・無理強いしない

・子どもの個性に合わせたマインドフルネス方法を探す


Lesson8では、子育てのためのマインドフルネスを学びました。

子どもと過ごすこの瞬間も、一秒後には過去になってしまいます。
「今、この瞬間」を充実した楽しいものにするために、親子でマインドフルネスを実践してみてください。