Lesson8-4 親のためのマインドフルネス

日常でマインドフルネスを実践しよう

前回までは、親が自分の感情や反応、そして行動に気がつくことが子育てにおいて大切であることを学んできました。

このページでは、「気がつく」ためにおこなう親のためのマインドフルネスを学びます。
基本のマインドフルネス瞑想は、Lesson3とLesson4で学んだことになりますが、忙しい日常を過ごす親にもできる、短時間でできるものを紹介します。

呼吸法

いつもマインドフルネスな状態を保ち、自分の感情や行動に気づくことができれば良いのですが、
怒りがピークに達しているときや極度のストレスがあるとき、
人はなかなか「今マインドフルネスになって自分に気がつこう」などとは思えないものです。

しかし、このような場合であっても感情に任せて行動をしてしまっては、自己を成長させることはできません。
自分の感情がコントロールできなくなったら、とりあえずの措置として呼吸法に取り組みます


〈2−3分でできる呼吸法〉

極度のストレスを感じたら、静かにできる場所に移動して座ります。
座ったら目を閉じて、今の自分の状態(感情や気分)に注意を向けます。
そして、自分の呼吸に集中します。
鼻から息が入って、そしてまた鼻から息が出ていく感覚に集中してください。
お腹に注意を向け、呼吸とともに膨らんだりへこんだりする感覚に集中してもかまいません。

注意がそれたら、それに気がつき、また呼吸に注意を戻してください。

呼吸法を終えると、先ほどまで感じていたストレスが軽減し、落ち着きを取り戻しているはずです。

基本の呼吸の仕方については、Lesson3-6,3-7 をもう一度復習してください。

食べる瞑想

食べる瞑想は、今を楽しむためにできる、手軽な瞑想方法です。
詳しくはLesson4-5 を参照してください。

食べる瞑想は、食べ物でなくてもかまいません。
水やコーヒーを使っておこなうこともできます。
子育てに追われていると、水を飲むのも忘れて脱水症状になってしまう人もいるぐらいです。
ストレスを感じたら、コップに水を一杯入れ、食べる瞑想の要領で、最初の一口をゆっくりと味わって飲んでみましょう。

「水を飲むときは集中する」と決めておけば、一日のうちに数回はマインドフルネスの状態になることができます

ゆっくりと動作する

「ゆっくりとした動作」を2〜3分からおこなってみましょう。

まず、椅子か床に楽な姿勢で座ってみましょう。

ゆっくりと手を上げて、そしてゆっくりと手を下げる動作を繰り返します。
上げるときに「上げる、上げる」、上までいったら「止まる」、下げるときに「下げる、下げる」と実況中継してください。

これは、忙しい日常の合間にもできる簡単なマインドフルネスです。
集中できるようになったら10分ほど続けるとさらに効果が期待できます。

また歩く瞑想も、自宅でできるので忙しい親が取り組みやすい瞑想です。
ストレスを感じたら静かな部屋に行って、ゆっくりゆっくり歩いてみましょう。

動きを止める

子育てに忙しいと、椅子に座る暇もなく、常に何かをしている状態が続いているのではないでしょうか。

そこで、意識して動きを止めてみましょう。

両足を腰幅に広げて立ち、目線を前方に固定してください。
背筋を伸ばしてください。

ただ立っているだけだと雑念がわいてきますので、「立っている、立っている」と実況中継してください。
そのときに、なんとなく「立っている」と言うのではなく、
その場所に立っていることをしっかり実感しましょう。

2〜3分からはじめ、10分ほど続けられるようになると高い効果が期待できます。


この方法以外にも、日々の生活の中で意識的に、いろいろなことをゆっくりと丁寧に取り組むことでも効果を得ることができます。
例えば、皿洗いをしたり、掃除をしたり、裁縫をしたりなど、なんでもかまいません。
こうしたちょっとしたことに気をつけるだけで、いつもマインドフルネスな状態を保つことができます。

マインドフル・リスニング

Lesson6-3でマインドフル・リスニングについて触れましたが、覚えていますか。
マインドフル・リスニングを、子育てにも応用してみましょう。

子どもが話しているとき、子どもの話に集中していますか? 
忙しいと、何かをやりながらなんとなく聞いてしまっていることが多いかもしれません。
ある程度子どもが大きくなってくると、話さなくなってしまう子もいますが、
まだ小さいころは子どもは親に話をするのが大好きです。

子どもが話しているときは一旦手を休め、子どもの話に集中してあげましょう。「ただ聞いてあげる」ことは、子どもにとって最高のプレゼントだと思って実践してください。
毎回は無理でも、例えば寝る前のひとときだけはこの時間にするなどと決めると、継続しやすいです。

障がいを抱えた子をもつ親にも

障がいを抱えた子どもを育てる親は、健常児を育てる親よりもストレス度合いが高いことがわかっています。
ある研究の報告によると、マインドフルネスを一定期間実践した親は、
ストレスが低減し、子どもに共感できるようになったという結果が出ています。

またマインドフルネスを実践して親自身が変わると、子どもの行動も変わってくることがわかっています。


子育てを変えたいと思ったら、まずは親がこれらのマインドフルネスを実践してみましょう。
時間があるときは、Lesson3〜4で学んだ方法で瞑想に取り組むとより効果的です。

次回は、子どもが実践できるマインドフルネスについて学びます。