風通しの良い職場にするためには
組織におけるマインドフルネスの実践について、
前回はリーダーシップを向上するために「書く瞑想」「慈悲の瞑想」に取り組むことを学びました。
今回は、人と人の関係性を高めるために、コミュニケーションの取り方について学びます。

自由に発言できる環境を整える
生産性の高い組織は、「心理的安全性が高い」ということをすでにお伝えしました。
では、心理的安全性をつくりだすにはどうしたら良いのでしょうか。
その一つは、いつでも自由に発言できる環境をつくることです。
そのために取り組みたいのが「マインドフル・リスニング」です。
通常、マインドフルネス瞑想は自分(自分の呼吸や自分の体など)に向けておこなうものですが、
マインドフル・リスニングは、他者に注意を向けておこないます。
しかし、基本の考え方は変わりません。
目の前の相手が話すこと一瞬一瞬に注意を向け、ありのままに受け入れていきます。
マインドフル・リスニングをしている間は、相手が言っている内容について評価や批判をしません。
自分の意見を間に挟むこともしません。
自分は何も言わずに、ただ相手に注意を向けます。
単純で簡単なことに思えますが、取り組んでみるとなかなか難しいことに気がつきます。
人はいつでも、絶え間なく、自分だけでなく他者に対しても評価や批判をしているからです。
多くの人は、相手の話を遮って、自分の意見を述べるのが良いことだと考えています。
しかし、話を遮られた方の立場になって考えてみてください。
最後まで話し終える前に遮られると、時には自分を否定されたと感じてしまうのではないでしょうか。
リーダーがマインドフルネスになって部下の話しに耳を傾けると、
部下は「自分の意見をしっかりと聞いてもらえた」と満足感を覚えます。
そして、「意見や相談があるときは、いつも話してみよう」と、思えるようになるのです。
このように環境が整うと、上司と部下の関係性も、良いものに変化していくでしょう。
マインドフル・リスニングのやり方
マインドフル・リスニングの練習をするときは、「聴き手」と「話し手」の二人一組でおこないます。
始める前に、テーマを決めましょう。
テーマは何でもかまいませんが、仕事に関係のあるテーマにしたいなら
「仕事で悩んでいること」「仕事で楽しいと思えること」
などに設定しても良いでしょう。

【話し手】
話し手は、事前に決めたテーマについて、3分間一人で自由に話し続けます。
この3分間は、話し手のものです。
時間内に話すことがなくなったら、それでもかまいません。
何か思いついたら、また話します。
目の前にいる相手が、自分の話しに最後まで耳を傾けてくれるということを、心に留めます。
【聴き手】
聴き手は、話し手に全力で集中します。
話し手が話しているときに、発言をしてはいけません。
会話の途中に、「耳を傾けている」という意思表示(頷いたりすること)をすることはできますが、これもやりすぎないようにします。
相手が話すことに意識を集中させるのと同時に、自分の中で相手を評価していたら、それに気がつきましょう。
自分が下していた評価を手放し、また相手の話しに集中します。
3分間経過したら役割を交代して、また3分間同じことをおこなってください。マインドフル・リスニングが終了したら、自分が感じたことを二人で話し合います。
これは二人一組になっておこなう練習ですが、マインドフル・リスニングを仕事中にも実践してみましょう。
部下が意見や相談を持ちかけてきたら、その時間を部下にあげてしまうつもりで、相手が言うことに集中して聞いてあげるようにしてみてください。

もちろん、仕事をしていく上では、部下の意見に反対をしなければならないときもあります。
そのようなときには、部下の意見を否定するのではなく、一旦受け入れ、共感してあげることが大切です。
コミュニケーションをマインドフルネスに
マインドフル・リスニングについて学びましたが、コミュニケーションの全てをマインドフルネスにおこなうことが理想です。
例えば、話すときも話す内容に注意を向けます。
自分が話すことに集中していなかったために、本当に伝えたかったことがうまく伝えられなかったということはよくあることです。
メールを送るときはどうでしょうか。
何か気に触ることがあったとき、自分の感情がメールの内容に反映されてしまっていないでしょうか。
本当に伝えたいことは別にあるのに、違った意味合いで相手が受け取ってしまう可能性があります。
しっかりと「メールを送る」ということに集中し、業務を遂行しましょう。
どのようなコミュニケーションにおいてもマインドフルネスになり、
そのときの状況や自分の内面をしっかりと観察した上で、会話をするように心がけ流ことが大切です。