リーダーシップを向上させるには
前回は、組織におけるマインドフルネスの実践1として、仕事の効率を上げるためのマインドフルネス瞑想を学びました。
「座る瞑想」と「ボディー・スキャン」は、集中力とメタ認知能力を高めるのに効果的であることがわかりました。
今回は、リーダーシップを向上させるために必要なことと、
それを身につけるための瞑想を学んでいきましょう。

リーダーシップに必要なこと
組織がマインドフルネスを導入する理由として多いのが、リーダーを育てることです。
リーダーに必要なのは、自己認識力(セルフ・アウェアネス)と、
部下の感情に気がつき、思いやることができる能力(コンパッション)だと言われています。
自己認識力は、
大きく言えば「自分はどのように生きていきたいのか」という、
自分自身の価値観を知る能力です。
細かく言えば、自分の考え方、感情、体調、そして自分の感情や言動が周囲に与える影響をしっかりと認識する能力です。
自己認識力が低いリーダーのもとでは、どのようなことが起こるでしょうか。
- 自分の感情に気がつかないので、気分によって部下に対する態度が変わる
- 自分の価値観を認識していないので、いつも言うことが違ってしまう
- リーダー自身の目標が定まらないので、グループの目標も定まらない
このようなリーダーには、誰もついていきたがらないでしょう。
自分自身を導けない人は、部下を導くこともできないのです。
つまり、リーダーには自己認識力が不可欠なのです。
この自己認識力がついてはじめて、部下の感情に気がつくことができます。
そして、部下の感情に気がつくことができれば、
「部下のために自分は上司として何ができるか?」という思いやりを持つことができるのです。
自己認識力を高めるために「書く瞑想」、部下の感情に気がついて思いやることができるようになるために「慈悲の瞑想」をおこないます。
書く瞑想(ジャーナリング)
書く瞑想は、Lesson4-7 で学びました。
リーダーシップを向上させるのに必要な、自己認識力を高めるのにとても有効な瞑想方法です。

書く瞑想は、「座る瞑想」や「ボディー・スキャン」と比べてもとても簡単で単純な瞑想に感じますが、
毎日短時間おこなうだけでもとても効果があることがわかっています。
一日2分間取り組むだけでも気分が良くなり、
失業者に一日20分、5日間続けてもらったところ、失業率が改善したという報告もあります。
テーマはなんでもかまいませんが、リーダーがおこなう場合、
まずは自分の価値観を知るために「自分が心から大切にしていること」というテーマや、
自分がどうありたいか知るために「自分の理想の未来」というテーマを試してみましょう。
時間を決めて毎日取り組むと、
自分が知らなかった「本当の自分」を知ることができるようになり、
自己認識力が高まります。
慈悲の瞑想
リーダーシップに欠かせないのは、「思いやり(コンパッション)」です。GoogleのSIYを開発したチャディー・メン・タン氏は、
“思いやりのあるリーダーシップこそが最も効果的なリーダーシップ”と述べています。
部下に思いやりを持ち、優しさを持って接することができるようになるために、「慈悲の瞑想」をおこないましょう。
慈悲の瞑想は、Lesson4-8ですでに学びました。
他人を思いやるには、まずは自分を思いやることが必要です。
「自分を思いやる」というのは、自分を甘やかすようで抵抗感がある人も多いかもしれません。
特に、優秀な人は自分に厳しく、その傾向が高いようです。
しかし、それは違います。
自分を思いやるのは甘やかすということではなく、
「ありのままの自分に気がつき受け入れる」ということなのです。
自分の欠点や弱点を受け入れてはじめて、それを克服しようと行動することができると思いませんか。
自分の欠点や苦しみを受け入れられるリーダーは、
部下の欠点や苦しみも受け入れることができるようになります。
慈悲の瞑想を続けることで、部下の感情に敏感に反応し、すばやく対応できるようになるのです。
そのような上司のもとでは、部下は上司に対して何でも相談しやすくなります。
リーダーシップを向上させたいという方はぜひ今日からこのページで復習した瞑想に取り組んでみましょう。