効率を上げるには
Lesson5では、組織や企業がマインドフルネスに取り組む理由や、その効果について学びました。
この章では、組織におけるマインドフルネスの実践方法を具体的に学んでいきましょう。

基本のマインドフルネス瞑想をおこなう
仕事を効率よくおこなうには、「集中力を高める」ことが大切です。
実は仕事中、目の前のことに100%集中している人は少ないと言われています。
それは人の話し声や絶え間ない携帯の通知など、注意力を削ぐものがいくらでも周囲にあるからです。
何度もお話ししていますが、マインドフルネス瞑想は、常に呼吸に集中するトレーニングです。
注意がそれたらそれに気がつき、また呼吸に集中するという作業の繰り返しです。
一般的に、このトレーニングを続けると、集中力が高まると言われています。
また、マインドフルネス瞑想には「メタ認知力を高める」効果もあります。
メタ認知力とは、自分の思考や感情を、客観的に見ることができる能力です。
メタ認知力が低い人は、自分自身の思考や感情に気がつかないまま、それに支配されてしまっています。
一方でメタ認知力が高い人は、自分の思考と感情を冷静に見つめることができるので、正しく自分を理解することができます。
マインドフルネス瞑想を続けると、「注意がそれた」と気がつくことができるようになります。
つまり、「メタ認知能力」も培われるのです。
マインドフルネス瞑想で「注意力」と「メタ認知能力」を高めていきましょう。
座る瞑想
Lesson4-1を復習しましょう。
この瞑想は一番の基本になります。
組織内でおこなう場合は、できれば毎日5分〜10分取り組みます。
瞑想終了後に、気がついたことなどをメモすることも効果的です。
瞑想が終わったすぐあとは、自分のこと(心の状態や体調など)や周囲のことに気がついている状態です。
この状態を仕事中にもキープできれば、もし頭の中が色々なことで溢れていたり、集中力が切れたときにも、
「今自分はマインドフルネスの状態ではないな」と気がつくことができます。
気がつくことさえできれば、一旦落ち着いて、またマインドフルネスの状態に戻ることができます。
ボディー・スキャン
呼吸に注意を集中する「座る瞑想」とともに、体に注意をする「ボディー・スキャン」にも取り組みます。
ボディー・スキャンのやり方については、Lesson4-2を見直してください。

ボディー・スキャンは、今の体の状態をありのままに観察する瞑想です。
以前、姿勢について学んだときに、落ち込んでいるときは背中が丸くなり、気分が良いときは姿勢も良くなるとお伝えしたのを覚えていますか?
心と体は、密接な繋がりがあるのです。
緊張しているときに汗をかいたり、怒りを覚えたら手を握り締めたりと、体はいろいろなサインを出しています。
ボディー・スキャンによって自分の体を観察することにより、自分の状態をより良く把握することができます。
つまり、セルフ・マネジメントと、ヘルス・マネジメントができるようになります。
この能力は組織の中においても非常に役立つスキルです。
これらの基本の瞑想は、会社で毎日定期的におこなうのが理想ですが、
ボディー・スキャンなどは難しいこともあります。
社内でおこなえないときは、個々人がプライベートで毎日実践していくことを推奨します。
日常生活でのマインドフルネス
マインドフルネス瞑想の基本は、「座る瞑想」と「ボディー・スキャン」ですが、これをおこなった上で、日常的にもマインドフルネスの状態になるように意識します。
忙しいビジネスパーソンにもおすすめできるのは、「食べる瞑想」です。
毎朝朝食を食べるときに、最初の一口だけでもマインドフルネスになって食べてみましょう。
朝食を食べない人は、コーヒーでもかまいません。
コーヒーを入れるときにふわっと感じる良い香り、コーヒーがポタポタとカップに落ちる音、そして最初の一口をとにかく味わってみてください。
その他にも、顔を洗うとき、歯を磨くときなど、マインドフルネスにおこなってみてください。
一日一度、10分でも自分を内省する時間を持つと、頭と心がスッキリします。
これらにしっかりと取り組むことで、結果的に仕事の効率も上がるようになるでしょう。