Lesson9-1 人生に役立つマインドフルネス1

うまくいかないな…と感じたとき

日々瞑想に取り組むことで、マインドフルネスの状態を保つことができるようになってきたら、
人生のさまざまな場面でマインドフルネスの考え方を取り入れてみましょう。

何をやってもうまくいかない、思い通りにならない…。
このように人生に生きづらさを感じてはいませんか。

そのようなときも、マインドフルネスになって物事を解決していくことができます。
マインドフルネスとは、すなわち「気づき」であると学びましたね。

この「気づき」は、今の自分の状態をしっかりと把握し、問題を解決するのに役立ちます。

頑張っているのに、うまくいかないとき

誰にでも
「がんばっているのに結果が出ない」
「努力しているのに思うようにいかない」ということがあると思います。

努力する内容にもいろいろあります。

例えば、

  • 達成したい目標があって真面目に努力を重ね、毎日コツコツと取り組む
  • 人間関係を改善したくて、なんとかその人と仲良くなろうと努力する

などです。

しかし、努力をする人が皆、自分が思う目標に到達できるわけではありません。それはなぜでしょうか。

それは、努力する方法を間違えてしまっている可能性があるからです。

いくら頑張っても、その方法を間違えていたら、時間をかけてもうまくいきません。
努力してもなかなか報われないという人は、一度そこで立ち止まってみましょう。

世の中には、自分が努力することで得られることと、自分の力ではどうにもならないことがあります。
自分の力ではどうにもならないことに対して、がむしゃらになっても仕方ありません。

この場合は、自分の努力では変えられないその環境に対して、
自分の考え方を変えて適応していくという方法があります。

つまり、自分自身が変わるための努力をするのです。

例えば、いつも不機嫌な上司をもつ人がいるとします。
この人は、上司が不機嫌なのは自分が悪いと思い、なんとか上司の機嫌を取ろうと良い成績を出したり、残業したりして頑張っていたとします。

しかし、もしも問題があるのがこの人ではなく、上司の性格の方だったらどうでしょうか。
この人がいくら頑張ったところで、上司との関係が改善するはずがありません。

そのときは、マインドフルネスになって「問題がある上司がいること」を受け入れて、それに対してどう自分が対処していくかということを考えなければならないのです。

努力しても報われない人は、自分が置かれている状況を客観的に分析し、本当に自分の努力のやり方が合っているのか、冷静に判断しましょう。

問題を上手に処理するには

人に何かを相談されたときはとても良いアドバイスができるのに、自分に何か問題が起きたときはうまく対処できないという経験はありませんか。

それは、人は自分のことになると冷静な判断ができないからです。
「自分にはそんなことはできない」と自信がなかったり、
逆に「自分ならきっとうまくいく」と根拠のない自信にとらわれて、失敗してしまいます。

自分の能力を正しく判断できていないのです。

一方で、自分の能力を適切に判断できる人もいます。
一般的に、「社会や人のために役に立ちたい」という意識が高い人は、この能力が高いと言われています。

つまり、人のために考えて行動できる人は、たとえ自分の問題であっても正しく判断し処理できるのです。
さらにこのようなタイプの人たちは、自分自身の能力の限界も知っています。
自分にできないことを把握し、もっと自分に努力が必要だと考えています。

これを、「知的謙遜」と言います。
ビジネスの世界では、知的謙遜のレベルが高い人も評価される傾向があるようです。

しかし、今すぐに「社会のため、人のために役に立ちたい」と思えるようになれれば良いのですが、それには人それぞれペースがあり、
今すぐには自分以外のことを考えられない場合もあります。

このような人も、何か問題に直面したときは、自分を過小評価・過大評価せず、マインドフルネスになって客観的に自分を見つめてみましょう。
そうすることで、今の自分の能力で、
どのようにその問題を処理していくことができるかということが、おのずとわかっていきます。


次のセクションでは、マインドフルネスでマイナス感情とどのように向き合っていくかを学びます。