Lesson9-2 人生に役立つマインドフルネス2

マイナスな感情との向き合い方

人生でつまづいたときや、うまくいかないとき、マインドフルネスをどのように生かしたら良いのでしょうか。マイナス感情との向き合い方について学びます。

不安や緊張を克服したいとき

人前で話したり、発表したりするとき、緊張や不安を感じます。
程度の差こそあれ、不安や緊張を感じるのは、誰にでもあることです。

このようなとき、「緊張しないようにしよう」「リラックスしよう」と、
無理に緊張や不安を解こうとした経験は、どの人にもあるのではないでしょうか。

実は、不安や緊張を無理に解こうとするのは、逆効果なのです。
経験するとわかると思いますが「緊張しないようにしよう」と思うと、
人はますます緊張してしまうものなのです。

不安や緊張は、ネガティブなものだと決めつけていませんか?

人は、不安があるからこそ、大事な場面に向けてしっかり準備します。
そして、大事な場面で緊張するからこそ、集中力が高まるのです。

この事実を知っていれば、
「不安を感じるのはしっかり準備するためだ」
「緊張しているから集中力が研ぎ澄まされている」と思うことができ、
自分の力を本番で十分に発揮することができます。

大事な場面ではマインドフルネスになって、
不安や緊張といった自分の感情と、上手に向き合ってみましょう。

自分を不幸だと感じてしまうとき 

生活も落ち着いていて、お金にも困っていないのに、なぜか自分を不幸だと感じてしまうことがあります。
とても幸せな状態なのに、突然不幸感に襲われたり不安になったりすることはありませんか。

人間はネガティブ思考になりやすいことをLesson7-2で学びましたが、
「不幸に感じてしまう」のはこれに関係があります。

そもそも人間は、不幸に感じるようになっているのです。

過去につらい経験があれば、たとえ今は幸せでもその経験に感情が引っ張られてしまいます。

また「こうなったらもっと幸せだ」と、今と未来を比べて不幸を感じることもあります。

さらに、今とても幸せでも、その幸せに慣れてしまって幸せに感じられないということもあります。

しかし、見方を変えると「不幸だ」と感じるからこそ、もっと良くしようとして人は努力することができます。
このように、負の感情をバネにすることで、人間は成長することができるものです。

ですから「不幸だ」と感じたら、それはもっと幸せになるための人間の性質だととらえ、自分の感情が引きずられないようにしましょう。
そして、マインドフルネスになって今の自分に集中し、幸せであることを確認しましょう。

「もっとこうしたらよくなるな」ということがあっても、必要以上に落ち込んだり不安に感じる必要はありません。
具体的に目標を決め、それに向かって努力すれば良いのです。

嫉妬心と上手に付き合う

人は少なからず、他者に嫉妬心を抱くものです。

そのエネルギーが悪い方向に向かうと、他人を引きずり下そうとしたり、嫌がらせをしたりといった行動に出てしまいます。

一方で、嫉妬心には良い面もあります。

嫉妬心とは、自分が欲しいと思っているものを人が持っているときに感じる感情です。
自分が欲しくないものを人が持っていても、嫉妬心はわきません。
つまり、嫉妬心が芽生えるとき、自分の新たな側面を発見することができるのです。

例えば、自分は役職につきたいと思っていなかったのに、同僚が昇格して役職についたときに、嫉妬心を感じたとします。
それは、実は自分も昇格したいと思っていたということなのです。

そのときにわいた嫉妬心を、どうしたら良いでしょうか。

「あの人は部長にゴマをすって昇格したんだ」とか、
「きっと人の手柄を自分の手柄にしたんだ」と、
あることないことを言ってその人を否定しても、自分には何もメリットがありません。

それよりも、マインドフルネスになって、そのときに感じた「羨ましいな」という感情をまずは認めてください。

そして、その人のようになるためにはどうしたら良いのかを考えるのです。
つまり、「嫉妬心」を、自分のために使うのです。

また、嫉妬を感じた相手を称賛し、その人の近くにいて学ぶ姿勢も大切です。
決して、その人を妬み蔑む人たちと一緒にいてはいけません
成功した人の近くにいれば、良い影響を受けることができ、自分の成功に近づきます。

このように「嫉妬心」は、自分を成長させることができるすばらしいエネルギーなのです。

ストレスを成長のために活かす

「嫉妬心」と同様に、「ストレス」も自分を成長させるのに役立ちます。
全くストレスがない人生を想像してみてください。
何も刺激がなく、味気ないと思いませんか?

まずは、「ストレスは悪いものだ」という思い込みを捨てましょう。
ストレスを感じたら、「これが今の私の課題なんだ」と思考を転換し、
問題を解決する努力をすれば良いのです。

例えば、会社に言われて業務に関係のある資格試験を受けなければならないとします。
忙しい中で勉強時間を確保するのは、とてもストレスですよね。

しかし、「勉強したくないな」といつまでも向き合わないでいると、ますますストレスになります。
それよりも、「資格を取って、仕事に生かせるように頑張ろう」と気持ちを切り替えて勉強をする方が、自分を成長させることができると思いませんか。

何か問題に直面したとき、人はストレスを感じます。
しかし、その問題を自分で乗り越えることによって、少しずつ成長していくのです。
ストレスを感じたら、マインドフルネスになって、
まずはストレスを抱える自分自身と向き合い、
その状況を認め、自分にチャンスがきたのだと思うようにしてみましょう。


Lesson9では、人生で直面するさまざまな問題を、
マインドフルネスになって客観的に状況を把握し、
思考転換して良い方向に進めていく方法を学びました。

いつもマインドフルネスの考え方を忘れず、さまざまな場面で役立ててください。