日常生活をマインドフルネスに(1)
これまで日常で取り組める瞑想として、
「食べる瞑想」「聞く瞑想」「見る瞑想」「書く瞑想」
などについて学んできました。
「マインドフルネス瞑想」は、人生の一瞬一瞬をマインドフルネスに生きるためのトレーニングです。
これまで学んだ瞑想だけではなく、日常のどの場面でもマインドフルネスに生活することを心がけてみましょう。
今、目の前のことを「誰かのため」「将来のため」と思って取り組むのではなく、
「今この瞬間のためにする」「これこそが生きる目的だ」と思って取り組むことが大切です。

これから2セクションにわたって、日常のさまざまなシーンを取り出して、どのようにすればマインドフルネスに過ごせるのかを学んでいきます。
自分の感情に気づく
「座る瞑想」「ボディー・スキャン瞑想」では、自分の心があちこちにさまよい、次から次へと思考や感情がわいてくるのを体験しましたね。
瞑想中はリラックスして呼吸に集中しますから、自分の感情に気がつきやすくなります。
しかし、人は日常からさまざまな思考や感情に支配されてしまっています。
マインドフルネスについて知識がない多くの人は、このことに気がついてすらいないでしょう。
ここからは、瞑想をしていなくても、日常の中で自分自身の感情に気がつく方法を解説します。
イライラを意識する
人は誰でも、イライラするものです。
今日は何回イライラしたでしょうか?
小さなことから数えたら、数えきれないかもしれません
。友人が待ち合わせに遅れてきたり、電車やバスが時間通りに来なかったり、レストランで注文した料理がなかなか出て来なかったり。
イライラする場面はいくらでもありそうです。
しかし人は、「自分は今、イライラしている」と改まって認識することはありません。イライラしだしたら、その感情に流されてしまいます。
イライラし始めたら、まずは「自分は今イライラしているな」と気がついてください。
そして、深呼吸してみましょう。
すると、気がつくはずです。
「電車が5分遅れたところで、いったいどんな影響があるのだろうか?」
「どうしてこんなにイライラしているんだろう? イライラする必要はないな」と。
不思議なほどイライラがおさまります。
寂しさを受け入れる
人はどんな状況でも孤独を感じる生きものです。
一人暮らしであっても、家族と暮らしていても、人と一緒にいる瞬間でさえも、ふと寂しさを覚えたり、孤独を感じたりします。

寂しさを感じたら、その思いが膨れ上がる前に、深呼吸をしましょう。
少し落ちついたら、「私は今、寂しさを感じている」と、自分のその感情に気がついてください。
寂しさを感じる理由は人それぞれです。
SNSで友人の楽しそうな写真を見たり、過去の寂しかったことを突然思い出してしまったりすることもあります。
寂しさの原因がわかったら、「だから寂しく感じているんだな」と気がつきましょう。
「寂しい」と思う感情に気がつき、否定せず、そして受け入れてください。
ネガティブな感情を意識する
人は一日のうちに多くのことを思考しますが、特にネガティブなことを多く考えています。
ネガティブなことは、大なり小なりさまざまなことがありますが、この感情についても気がつかないことがほとんどです。
たとえば、朝起きて喉が痛かったら「嫌だな、風邪のひき始めかな」と思ったり、
同僚がそっけなかったりすると「何か悪いことしたかな」と考えたり、
クリーニングを取りに行き忘れて「ああ、忘れちゃった。どうしよう」と嘆いたり。
本当に小さなことにネガティブな感情を持ちます。
ネガティブな感情を持ったら、そのことに気がつきましょう。
「ネガティブになっているな」「不安を抱いているな」と認識します。
自分の内面に目を向けてみるのです。
このように自分自身の内面と向き合うと、
たいていのことは、たいしたことはなく取るに足りないできごとで、
ネガティブになる必要はまったくないということに気がつくでしょう。
いかがでしたか?
このように考えて日常を過ごすだけで、これまで自分の感情を意識してこなかった人も、
「一日のうちにこんなに考えごとをしていたのか」
「自分にはこんなに感情があったのか」と気がついたのではないでしょうか。
次のセクションでも引き続き、毎日をマインドフルネスに過ごす方法を学んでいきましょう。