日常生活をマインドフルネスに(2)
引き続き、日常生活で実践できるマインドフルネスを解説していきます。
前回は「自分の感情に気がつく」という体験をしました。
このページでは、日々の日課をマインドフルネスに過ごす方法を学びます。

毎日をマインドフルネスに
人は一日のうちに、いろいろなことをしています。
仕事が休みで、一日中家にいる日ですら、さまざまな日課をこなしています。
マインドフルネスに生きていない人は、そんな一日の終わりは、
「今日は何もすることなく一日が過ぎてしまった。大切な休みを無駄にしてしまった」
と嘆いてしまうかもしれません。
しかし、日々の日課をマインドフルネスにこなすことで、
いつもは無駄に感じてしまう一日でさえも、尊い一日に生まれ変わります。
お腹がすいてから食べる
皆さんは毎日、食事をどのように取っているでしょうか。
毎日決まった時間に、なんとなく食事をしていませんか。
「三食しっかり食べる」という考えは、成長期の子どもには当てはまるかもしれませんが、
大人は三食食べる必要はないという考えの医師もいます。
そこで、「空腹感」を味わってみましょう。
朝はお腹が空いていなくても、習慣で食べている人は多いと思います。
お腹が空いていなかったら、それが体からのメッセージだと思って、食べるのをやめてみましょう。
お腹が「グーグー」となるまで待ちます。
間食が日課になっている人も、本当にお腹が空いているから食べているのでしょうか。
ただ口寂しくなっているだけかもしれません。
チョコレートやスナックに手を伸ばす前に、
「今、空腹を感じているか?」「食べなくてもいいのでは?」
と自分の体に聞いてみましょう。
肌のお手入れ
男性でも女性でも、毎日肌のお手入れをします。
どれぐらい時間をかけるかは人それぞれですが、まったく顔を洗わない人はいないでしょう。
お手入れをするときに、肌のことを思って丁寧におこなっていますか?
別のことを考えながら、ゴシゴシとこすったり、化粧水を手でバンバンたたいていませんか?
マインドフルネスに、肌のお手入れをしてみましょう。
まずは洗顔をするとき。
洗顔料を使う人は、まずはその感触を手のひらで感じでみましょう。
水で泡立てるとき、丁寧にきめ細かい泡をたてて、その泡の感触も感じましょう。
そして、泡でゆっくり丁寧に洗顔していきます。
指を肌に滑らす一瞬一瞬を大切に、心をこめて顔を洗ってください。
化粧水や乳液を使うときも同じように、一つ一つ心をこめて肌にのせていきます。
化粧品の感触、香り、肌へのつけ心地を感じながら、肌に感謝するようにお手入れしてください。
終わったあとは、心も体もリラックスして、
「今日は肌のお手入れを丁寧にできた」と満足感でいっぱいになります。

姿勢を正す
Lesson3-5 でも触れましたが、姿勢と心はつながっています。
良い気分のときは姿勢が良くなり、落ち込んでいるときは姿勢が丸くなります。
瞑想では姿勢を正しておこないますが、日常生活でも意識的に姿勢を正してみましょう。
今はどんな気分でしょうか。自分の気分を観察しましょう。
今、どのような姿勢ですか。
自分が普段どんな姿勢でいるのか気がつきましょう。
今の気分が「憂鬱」「落ち込んでいる」場合は、姿勢も崩れているかもしれません。
そのことに気がついたら、姿勢を良くしてみましょう。
姿勢を正すと、気分も晴れてきます。
二度と会えないと思って人に会う
皆さんは日々、いろんな人に会うと思います。
毎日会う家族、久しぶりに会う友人、会社で顔を合わせる上司や同僚。
いつもは何も感じず、何気なく会話をしてしまいます。
それは、いつでも会えるし特別なことは何もないからです。
このような人と過ごす一瞬一瞬も、これからは特別なものに変えましょう。
「この人と会うのは、これが最後かもしれない」と思ってみてください。
今この瞬間がその人と一緒に過ごす最後の瞬間だと思うと、その瞬間が突然大切な時間に思えるようになります。
たとえ苦手な人であっても、「今日が最後」であれば、何か思うところがあるはずです。

最後だと思えば、家族に食事を用意してもらったら「ありがとう」と言いますよね。
出かけるときは、心をこめて「行ってきます」と言います。
仕事が終わって帰宅するときは、上司や同僚に「おつかれさまでした」と心をこめて挨拶するのではないでしょうか。
目の前にいる相手に、全力で向き合ってみましょう。
こまめに深呼吸する
自分の思考や感情にほとんど気がついていなかった人も、
瞑想が習慣になってくると、自分がいかにいろいろなことを考え、
思考や感情に振り回されていたのかということに気がつきます。
そうすると、仕事をしているときでも、家事をしているときでも、
読書をしているときでも、心がさまよっているのに度々気がつくでしょう。
心がざわつき始め、目の前のことに集中できなくなったら、
三回でいいので深い呼吸をしてみましょう。
頭がスッキリし、心を静めてくれます。
マインドフルネス瞑想をはじめて、すでに毎日一定の時間瞑想に取り組んでいる人も、
一日の中で三回の深呼吸をこまめにすることを心がけてみてください。
これらの他にも、さまざまな日課を人はこなしています。それら一つ一つをマインドフルネスに体験してみましょう。
まるではじめて体験するかのように、その一瞬一瞬をおこなうことで、
その日課、そして一日が、全く違うものに感じられますよ。