食べる瞑想
前回に引き続き、いろいろなマインドフルネス瞑想法を学んでいきましょう。
今回は、私たちにとって最も身近と言える、食事に集中する「食べる瞑想」について解説していきます。

マインドフルネスに食べる
食事をするとき、どのように食べていますか?
忙しくて早食いしたり、サンドイッチを片手にパソコンで仕事をしながら食べたり、テレビを見ながら食べたりしていませんか?
仕事中などに小腹がすいてお菓子を食べるとき、次から次へと口に放り込んで、気がついたらあっという間に一袋なくなっていたということはありませんか? しかも「こんなに食べたっけ?」と食べたことすら覚えていない…。
おそらく誰にでも、このような経験があることでしょう。
それは、食べているのにもかかわらず、心は別のところにさまよっている証拠です。
思い出すだけで、いかに私たちが「ながら食べ」をしているかに気がつきます。
これは恐ろしいことに、食べ過ぎにもつながってしまいます。
食べることが嫌いな人は、あまりいませんよね。
食べることは、誰にとっても幸せなことです。
しかし一方で、食べることは私たちにとっては当たり前のことです。
朝起きて朝食を取り、お昼になれば昼食を取り、夕方になれば夕飯を取る。
日々の食事を機械的に取ってしまっているのです。
別に空腹を感じていなくても、時間になれば食べるので、味わって食べることもほとんどないのではないでしょうか。
今回は、そんな日々の食事に、意識を集中させてみましょう。
食べものについて考えてみよう
目の前に食べるものを用意してください。
手で触れられるようなフルーツや、野菜がおすすめです。

食べる瞑想をする前に、目の前にある食べ物について、考えます。
この食べものはどこで作られたのか?
誰が作ったのか?
誰が売ったのか?
誰が料理をしたのか?
思いを馳せてみてください。
もし、その食べものが肉や魚であれば、尊い命をいただいていることになります。
目の前にある食べものに関係しているすべての人や動物に、心からの感謝の気持ちを持ちましょう。
さあ、食べてみよう
目の前の食べ物に集中しましょう。
では、始めます。
目の前にある食べ物を、
まるで生まれて初めて見るかのように観察してください。
どんな形をしているか? どんな色をしているか? 表面はどうなっているか?
食べ物の形をすみずみまでじっくりと観察してください。
目で十分に観察したら、次は、手で触ってみます。
どんな感触をしているか? 指で食べ物の感触を感じます。
次に、匂いをかいでみましょう。
唾液が出てきたら、それに気がつきます。
そして、手をゆっくりと持ち上げて、食べ物を口に入れましょう。
舌触りを感じてください。
そして、ゆっくり、ゆっくり噛んでみてください。
食感や、味を確かめながら、十分に味わってください。
そして、ゆっくりと飲み込みます。
食べ物が喉を通るのを感じでください。
少量でも感じる満足感
食べる瞑想は、一度の体験でも気がつくことがたくさんあります。
そして、たった一口食べるだけでも、感謝の気持ちと満足感が得られます。

食べる瞑想をすれば、まだ口の中に食べ物があるのに、次の食べ物を口に入れるようなことはしなくて済みます。
いつもこのように食べることを心がければ、食べ過ぎを防ぐこともできるでしょう。
そして何より、食べている瞬間瞬間に意識を集中させることで、「食べる」ということが私たちに栄養という恵を与えてくれることを、全身で感じることができるのです。
それは決して当たり前のことではなく、まさに奇跡なのです。
全ての食事を「食べる瞑想」をしながら食べることが難しいときは、
最初の数口だけでも、時間がないときは一口だけでも、
マインドフルネスに食べてみましょう。
また仕事中にちょっとチョコレートをつまむときでさえも、一度手を休めて、その食べ物について考え、そして食べる瞑想をしてみてください。
仕事をしながら食べるよりも、きっと何倍もの満足感と幸福感が得られますよ。