ボディー・スキャン(2)
前回のセクションでは、ボディー・スキャンの取り組み方について学びました。このセクションでは、ボディー・スキャンの効果や、取り組むときの心構え、うまくできないときの対処法などをさらに学んでいきましょう。

ボディー・スキャンで大切なこと
ボデイー・スキャンは、慢性的な痛みや、ストレスを和らげる、癒しの効果があります。
各部位にあるストレスや緊張・痛みを、呼吸とともに体の外側に逃がしてくれます。
また、心がさまよい出したら、再び注意を各部位に戻すため、繰り返しおこなうことで集中力も高まります。
体の各部位に注意を集中することで、それぞれの部位で感じる感覚を体験することもできます。
このようにして自分が集中したいところに集中することができるようになると、自分自身で体を癒す能力が高まっていくのです。
しかし、このような効果を知ってしまうと、
ボディー・スキャン瞑想をしているとき、
その効果に期待するあまり無理にリラックスしようとしたり、うまくできなくて焦ってしまうことがあります。
ボディー・スキャンにはさまざまな効果がありますが、瞑想中は一旦そのことは忘れ、あくまで体の各部位に集中するようにしてください。
集中することで感じる体の各部位の感覚をありのままに受け入れ、その一瞬一瞬に入り込みましょう。
ボディー・スキャンに集中できないとき
取り組んでいくと、ボディー・スキャンに集中できない場合があることに気づきます。
どうしても集中できなかったり、途中で寝てしまったりすることもあるでしょう。
そのようなときも、あきらめることはありません。
悲観的になる必要もありません。
「できない自分」が今の自分なので、ありのままを受け入れましょう。
このようなときも、「とにかくボディー・スキャンやろう」という強い意志を持って、続けましょう。
続けるうちに、必ずできるようになります。
体に痛みがあるとき
ボディー・スキャンは、体に痛みがあるときに、痛みをやわらげるのにとても効果があります。
しかし、痛みがあるとその部分に意識が行ってしまい、なかなか各部位に集中することが難しいと思います。
それでも、ボディー・スキャンをおこなってみましょう。
例えば膝が痛むときは、足のつま先をスキャンしているときでも、いく度となく膝に注意がそれてしまいます。
そのようなときは、注意がそれるたびにつま先に注意を戻します。
それぞれの部位で得る感覚や、それに対する自分の感情に気がつきましょう。

そして、膝をスキャンするときになったら、それまでと同じように膝から来る感覚を感じ取ってください。
十分に膝に注意を集中することができたら、膝のことは忘れ、次の部位へ進めます。
つま先から始まって、痛みのある膝を同じように通過し、そして頭の先までボディー・スキャンをおこなうのです。
「痛み」という体の感覚を、ほとんどの人は「嫌なことそのもの」だと思っています。
しかし、それは違います。
「痛み」は体が伝えるメッセージの一つに過ぎません。
痛みが「嫌なこと」だというのは、痛みに対する人の感情なのです。
体の痛みに意識を集中させて、そこから来る感覚を客観的に観察することで、痛みからくる苦痛は、「自分の反応」であることに気がつきます。
たとえ小さな痛みであっても、それに対する自分の反応が大きければ、感じる痛みは大きくなってしまいます。
「痛み」と「それに対する自分の反応」は別のものであると認識することによって、感じる痛みはやわらぐのです。
続けよう
急性的な痛みは、湿布や薬で比較的簡単に取り除くことができますが、慢性的な痛みは医師も本人も原因がわからない場合があり、厄介です。
このような痛みがあるときは、ボディー・スキャンをはじめてみてください。
ボディー・スキャンは薬ではありませんので、即効性を期待してはいけません。そもそも、ボディー・スキャンは「痛みを取り除くために」するのではなく、
続けることによって結果的に痛みがやわらぐものですから、
根気強く(できれば毎日)続けてください。
2セクションにわたってボディー・スキャンについて学んできましたが、いかがでしたか。
早速今日から始めてみることができそうですか。
次回からは、日常でできるマインドフルネス瞑想を学んでいきますが、
「座る瞑想」と「ボディー・スキャン瞑想」はマインドフルネス瞑想の基本になります。
この基本にしっかり取り組む上で日常のマインドフルネス瞑想をおこなうと、より効果的になることを覚えておきましょう。